子どもと電車を見ていて、通り過ぎたあとに「電車見れたね!」と声をかけたいとき。
日本語では「見れる=可能の表現」だから、過去形にすれば could かな?と思い、
We could see the train? と考えてみたけれど、なんだか違和感がありました。
学校では「could は can の過去形」と習います。
でも、日本語の「できた」と英語の could は本当に同じ意味なのでしょうか?
今回はその違いと、親子の語りかけで自然に使える表現を整理してみます。
can / could の基本的な意味
まずは基本をおさらいしてみましょう。
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能力:She can swim.(泳げる)
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状況的な可能:You can choose any toy.(好きなおもちゃを選べるよ)
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許可:You can play outside.(外で遊んでいいよ)
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依頼:Can you help me?(手伝ってくれる?)
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可能性:It can be dangerous.(危ないこともある)
 
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過去の能力:I could swim when I was five.(5歳のとき泳げた)
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丁寧表現:Could you〜?(〜していただけますか?)
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可能性:It could rain later.(雨が降るかもしれない)
 
以上のように整理できました。
「could」には「過去の能力」として「できた」の意味で使うことができそうです。
しかし、なぜ「電車が見えた」=「We could see the train」だと違和感があるのでしょう?
日本語の「できた」は完了的なニュアンスが強い
理由は、日本語の「できた」という言葉の使われ方にあります。
文法的には「可能動詞(〜れる/られる)の過去形」ですが、実際の会話で「できた」と言うとき、多くの場合は「能力があった」というよりも 「達成した/完了した」ニュアンスで使っています。
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予約できた(=無事に予約が完了した)
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電車見れた(=ちゃんと見届けられた)
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今日買い物行けたよ(=忙しい中で達成した)
 
このように日本語では「できた/られた」と表しますが、そのニュアンスは「完了・達成」に近いものです。
それを英語で could のような「能力・可能」の表現に当てはめてしまうとズレが生じて、違和感につながるのです。
could と be able to の違い
では「できた」を英語でどう表せばいいのでしょうか。
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could:過去に一般的な能力があったことを示す
例:I could swim when I was five.(5歳のとき泳げた) - 
was able to:一度きりの成功・達成を表せる
例:I was able to finish the puzzle yesterday.(昨日パズルを完成させられた) 
つまり、日本語的な「一回きりの“できた”」を表すなら、could よりも was able to の方が自然です。
ただし、be able to は「達成できた」というニュアンスを強調する表現。
パズルなら「ちょっと難しいやつを完成させられた!」みたいな場面にピッタリですが、子どもがいつも通りパズルを作って「できたね」と声をかけるような場面では、わざわざ be able to を使うと少し大げさに聞こえてしまいます。
日常会話ならシンプルに過去形でOK
つまり日常会話で使うなら、毎回 could や was able to を使う必要はありません。
特に、子どもとの語りかけや普段の会話なら、シンプルに過去形で大丈夫です。
日本語は「できた」を多用しますが、英語は「事実を過去形で言う」だけで十分自然に伝わります。
子育てシーンではこのように使うことができます。
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電車見れた! → We saw the train!
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宿題できた! → I finished my homework.
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パズルできた! → I did the puzzle!
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牛乳買えた! → We got milk!
 
- いつでも見られる普通の電車をたまたま見かけたなら
→ We saw the train. - レアでなかなか見られないドクターイエローを、わざわざ見に行ったり奇跡的に遭遇したなら
→ We were able to see the Dr. Yellow! 
普通の電車は「事実として見えた」だから過去形。
でもドクターイエローのように「見られてラッキー!」とか「達成感がある」場面では was able to が自然、という違いです。
おわりに
日本語の「できた」は文法的には「可能動詞の過去形」ですが、実際には「完了・達成」を表す場面でよく使われています。
そのため、安易に could を当てはめると違和感が出てしまいます。
結論:日常で使う「できた!」は、シンプルに過去形で表現すればOK。
厳密に言えばニュアンスの違いはありますが、子どもへの語りかけレベルではごちゃごちゃ考えなくても大丈夫。
We saw the train! / You did it! とシンプルに言う方が、自然でわかりやすく、子どもにも伝わりやすいのです。
  
  
  
  
    
